タロットを幾つか持っていると、「このデッキではこのカードをどう表現しているんだろう?」と見比べてみるのが楽しい。そのデッキのテーマや強調したい方向性によって、同じカードでも表現に違いが出てくるからです。
特に「死」「悪魔」あたりの「怖い感じ」のカードほど各デッキで表現に拘りが出るというか、面白みが出てくると思うので、試しに幾つか選んで並べてみました。
今回は13「死」編です。
まず定番のライダー版
タロットの解説書などでも頻繁に取り上げられるライダー版(ウェイト版、スミス・ウェイト版)の大アルカナ13番、「死」(死神)がこちら。
タロットにあまり詳しくない人でも知っているんじゃなかろうかという、有名な馬に乗った死神の絵。
なんなら殺人現場に残されていそうなヤツです。見立て殺人だのカードの意味がだの名探偵が推理して、タロットカード連続殺人事件とか始まりそう。何人目かの犠牲者はたぶん逆さ吊りにされている。
私が持っているのは「スミス・ウェイト・センテニアル・タロット」なので、やや色がくすんでいるタイプのヤツですね。
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なんだかんだ、一番使っているのはコイツだと思います。やはり分かりやすい。そして見ているとだんだん、この絵がクセになってくる。
少し話はそれますが、ライダー版タロットをこれから購入しようという方は、色味、材質、大きさなどに注意して自分の好みに合ったものをじっくり探すのをオススメします。定番中の定番というタロットだけに色んな種類が出ているので。特に一般的なライダー版(「ウェイト版」「スミス・ウェイト版」などとも呼ばれるもの)の鮮やかではっきりした色合いがあまり好みではない人が多いのか(私もそうだが)、くすんだ色、彩度を落としたような色で再現されたものが何種類かあります。
更にその「普通のライダー版より優しい感じの色」の中にも何種類かあるので、裏面のデザインなども考慮しつつ、自分の好みのものを探してください。特に注意してほしいのは、人物の肌の色。赤いドット状の斑点があるように見える彩色のシリーズもあるので、気になる人はご注意を。Amazonで購入するならレビューを幾つか読むと分かりやすいかと思います。
左は「The Original Rider Waite Tarot Pack」。右が先に紹介した「スミス・ウェイト・センテニアル・タロット」。両者とも通常のライダー板より色合いが淡いが、色味には違いがある。特に人物の肌の表現に違いがあるので、裏面の模様なども考慮の上、好みのものを。
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やはりインパクトのあるライダー版の「死」。悪い意味ばかりのカードではありませんし、個人的にはこれより「うっ」となる意味のカードは他にもありますが、やはり何気なくカードをめくってこれが出てきたらビビりそうではある。
このコワモテのカードを他のデッキではどう表現しているのか?
手持ちのコレクションから面白そうなヤツを選んで並べたのがこちら。
個別に見ていきましょう。
LO SCARABEO三人衆
LO SCARABEO社で販売されているタロット三種類の「死」がこちら。
左から「ゴールデンボッティチェリ・タロット」、「デューラー・タロット」、「サード・ミレニアム・タロット」。
どれもライダー板の構図からは離れ、死神が馬に乗らないタイプ。 デューラーとミレニアムはちょっと雰囲気が似ている、ような? どちらもマルセイユ版の死神と構図も雰囲気も似ている気がします。
「ゴールデンボッティチェリ・タロット」はサンドロ・ボッティチェリの作品をアレンジしたデッキなので、使用されている絵はライダー版ともマルセイユ版とも全く違ったテイスト。ボッティチェリの作品「キリストの哀悼」から一場面を切り出したものと思われます。表面(絵が書かれている方)に金押しの装飾がある、とても豪華で華やかなタロットです。
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このボッティチェリのタロットカード、金押しの装飾があるものとないものがあるようなので、購入の際にはどちらなのか商品説明をよく読んだ上でどうぞ。私が購入した時には「金押しが欲しかったのに普通のが来た」という報告がレビューに幾つか見られ、どうしても金の装飾があるものが欲しかったので「カードの履歴」さんで装飾があるか確認してもらって購入した記憶があります。
「サード・ミレニアム・タロット」は単色銅版画風の大アルカナと、絵画に回路やバーコードなどが配置されたような面白いデザインの小アルカナで構成された個性的なタロット。
こちらの死神はマルセイユ版に近い印象でありつつ、ローブで姿を隠した構図。
面白いデザインだし格好良いので気に入っているデッキなのですが、どうやら絶版してしまったようです。
まだこちらで在庫が残っている様子。
Amazonでは大アルカナだけのパックしか見つかりませんでした。
この三種類はどれもマルセイユ風の構成(8が「正義」で11が「力」)。
13でも可愛くありたい系
お次はたとえ怖いカードの代表格「死」であろうとも、可愛くありたいカード。
左は「パステル・ライダー・タロット」(バルーンボックス版)、右は「ドリーミング・キャット・タロット」。
どちらも色合いがパステル系。
パステル・ライダー・タロットは色がパステル系でピンク中心になっている「だけ」で絵はライダー版なんですが、その「だけ」のせいで致命的に何かもう違うものになっている。死神の馬も鎧も容赦なくピンク。
いかにタロットの解説本なんぞで「悪い意味だけのカードじゃない」みたいに説明されていても、やはりこの死神が出てくるとビクッとする人も多いと思うんですが、このピンクの死神は出てきた瞬間に吹き出しそう。
このデッキは隠者のローブも悪魔もピンクに染められているし、カードのエッジに至ってはキラキラ光るシャインなピンクになっているので、タロットの怖い雰囲気が苦手だがライダー版は一つ持っていたい人にはオススメです。難点はシャッフルのしにくさ。カードに厚みがありしっかりしているのは良いものの、そのせいでひどくシャッフルしにくい。
カード裏面のデザインにピンクをメインに持ってきているデッキは幾つかあるんですが、イラストにもピンクを多用、更にエッジまでキラキラのピンクにしているものは少ないと思うので可愛いカードをお求めなら一考の価値ありかと。
ワンドがバルーンになっている差し替えカード付きのバルーンボックス版と通常版あり。
品薄なのか楽天では商品が見つけられませんでしたが、Amazonでの購入はこちら。
たまに妙に高い値段で出ていることがあるのでご注意を。私が確認した時点では41%オフの¥4830。購入した時もだいたい同じぐらいの価格だったと思いますが、一万円超えで出品されていることもあります。欲しい時はまずAmazonで見てみるのがオススメ。
ドリーミング・キャット・タロットはその名の通り、全ての登場人物が猫。
なので死神も当然のごとく猫なんですが、
お前も馬に乗るのかよ。
構図はほぼライダー版に沿っているので、ちゃんと死神の姿に恐れおののく民衆の猫も描かれている。
このカードも上のパステル・ライダーと同じで、紙が厚くシャッフルしにくいのが難点。タロットクロスを下に敷いていてもなお、カードが滑らず塊になったまま混ざりにくい。イラストは凄く可愛いし、構図はライダー版に沿っているので意外と使いやすいと思うのだが、このシャッフルしにくさはなんとかならないものなのか……。
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可愛いネコが大人気なのか、こちらもサイズ違いやバージョン違い(初心者向けのエディション)が存在するので、購入の際にはサイズ等をご確認の上、どうぞ。
街から離れてアウトドア系
こちらは「ミスティック・ドリーマー・タロット」の13。
カードの紙質が相当悪いということを除けば、かなり好きなタロット。いや私が買ったのはかなり前のことなので、もしかして今は紙質もマシになっているかもしれませんが。もし紙質が改善されているならいっそ買い直したい。
ピンクと猫の後だとインパクトに欠けますが、街なかではなく草原(?)で大きな頭蓋骨に腰を下ろした死神。もしかして街は既に滅んでいるのかもしれない。英語の専用ブックレットが付属していた(はず)なので、そちらに説明が書かれていたかもしれませんが、購入から時間が経ちすぎていて見つからず。たぶん押入れに入っていると思うんだが、見つかったとしても英語だしな……。
特に派手さはなく特別凝ったモチーフが使われているわけでもないが、開放されたと思しき霊魂、静かに座って動く様子がない死神と、どことなく穏やかな雰囲気で、とても好きなカードです。
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私が購入した時には大きな箱+カード+専用ブックレット+カード用の黒い袋という構成だったのだが、バージョンが変わったようなので現時点での同封品は不明。私が購入した時についていた袋も薄くてカードの保護には向かないものだったので、大切に保管したい人はカードボックスを別に用意した方が良いかと思います。
私が使ってみて気に入っているのはこれ。
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堅牢さでは劣るものの、省スペースでお手軽価格の布製のものもあり。
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とはいえ、カードが保護できればよいわけで、見栄えやぴったりサイズにこだわらないなら100均で適当なサイズの箱を見つけてきても良いかと思います。ただ、専用のケースは使いやすいし、気分が上がる。
日本神話編
ヤマモトナオキ氏の「日本神話タロット極」。
ダヨネ。
日本神話を題材にしている以上、13はこれになるよねという期待を裏切らない場面の切り出しです。黄泉比良坂でイザナミを追うイザナギですね。絶対ココであるべき、というセレクト。
このタロットはサイズが約135✕62と定番のタロットより細長く、それがまた御札っぽくてカッコいいのですが、困ったことが一つだけ。サイズが特殊すぎて、ちょうどいいケースがなかなか見つからない。
最初からわりとしっかりめの箱に入っているのでそれを使えばいいと言えばそうなんだけど、しっかりしているとはいえキャラメルボックス式で開けにくい・取り出しにくい・カードが傷つきそうの三重苦。キャラメルボックスってやつはいつもこうだ。
箱そのものも綺麗なので、こちらも傷つけたくない。
とりあえずの処置として、タロットクロスについてきたカード用の巾着袋に入れています。これでもかなりギリギリのサイズ。というより、やはりカードの高さがありすぎて巾着をちゃんと閉められない。
差し替え用のカードが何枚か付属していて、入れ替えることで自分のデッキが作れるのも楽しい仕組み。イラストもとても綺麗でオススメのデッキです。
私は丸善がタロットの特設スペースを作っている時に出会って一目惚れして購入。その時はこれだけ販売されていたのですが、他のバージョンも出ているもよう。私が持っているものは「日本神話タロット 極」なのですが、「日本神話タロット 極 伍」とどう違うのか今ひとつ不明。代替用カードの枚数と構成か……?
下で紹介している商品ページは「極 伍」の方。
版違いや大アルカナだけのデッキなどもあるようなので、購入の際にはよく確認してください。
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そうきたか系
最後は「タロット・ファボール」。スペインのイラストレーターさんの絵を採用したデッキだそうです。
こちらの13はライダーともマルセイユとも大きく離れ、(おそらく)ハムレットのオフィーリアが水面を漂っている場面を描いたもの。死神ではなく「死」そのものが描かれているタイプ。
全体的にゴシック風の絵柄で、サイズは定番のものよりやや小ぶり。大アルカナの8が「正義、11が「力」。小アルカナはコートカード以外はシンボル。裏面は正逆を区別するタイプ。
小アルカナのシンボルはカップが薔薇、ワンドが十字架、ペンタクルが仮面、ソードが蝶に置き換えられていて(シンボルの組み合わせに異説あり)、独特のデッキになっています。
シンボルの違いだけではなく、絵柄もライダー版やマルセイユ版とは違う独自の構図なので、かなりクセのあるデッキ。イラストはとても美しいので、この絵が気に入った人ならお気に入りのタロットになるかもしれません。
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素晴らしく美しいデッキではあるのだけれど、小アルカナの数札はシンボルが描かれているだけで独自の絵がないのが惜しいところ。
大アルカナに比べるとやや地味な印象ながらも、独自のテーマを持つデッキは小アルカナのアレンジが面白かったりする。小アルカナは「ペンタクルの5」などタイトルだけで絵を作りにくいので、ライダー版の構図を踏まえつつ「それらしい」変更を加えているデッキが多いだけに、このファボールタロットでもそうしたアレンジを見てみたかったのだが。
かなりクセが出るのが「13」
大アルカナの中でも一際存在感があるカードだからか、独自のテーマで作られたデッキでは面白い表現がされていることが多い「死」。
商品紹介ページなどでもサンプルとして取り上げられることが少なく、買ってから初めて見られることも多い。ちょっと変わったタロットカードを入手したら、ぜひどうなっているか確認して欲しい。ライダー版との違いや類似点を見つけるのも楽しいかもしれません。
ただし上でも再三言っていますが、タロットは同じ絵柄に見えてもサイズ違いや付属品の違い、版違いなどが多い商品。
購入の際にはまずサイズを確認し、色や付属品などが自分の求めているものと一致しているか検討してからご購入を。
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